top of page
  • Pinterestの - ブラックサークル
  • ブラ��ックTwitterのアイコン
  • Black Instagram Icon

〜天まで届け〜 第1章 手に入れた穏やかな日常

  • 執筆者の写真: eco
    eco
  • 2020年4月18日
  • 読了時間: 2分

 みんなで風に乗せて飛ばすのは、

「ふぅーっ。」

太陽に乱反射してチリチリと揺れるシャボン玉。

その辺に生えている草花を集めて、各々好きなストローや輪っかを作って遊んでいる。

花雫はツツジの花にシャボン液をつけ、根本から吹こうとしている。が、あまりうまくいかないようだ。

夫はシロツメクサで冠を作って、そこにシャボン液をつけて器用に飛ばしている。

わたしと空蕾は、たんぽぽの茎を取ってストロー代わりに吹いている。

「おかあさん、うまくいかないよぉ。」

「それでできたら可愛いのにね。残念!たんぽぽ使う?」

「もうすこし、がんばる。」

諦めずに試行錯誤しているようだが、膜が張らないので無理そうだ。

「花雫、お父さんの冠、使う?」

「やだ!つつじがいい!」

「そっかそっか、頑張ってえらいね。」

夫の誘いにも乗らず、頑固な娘はツツジに夢中だ。

「おかーしゃん、なんか、にがい。」

「あー!噛んじゃだめだよ!ぺっして!」

「べぇー。」

 わちゃわちゃとしていると、ポツポツと雨が降ってきた。

晴れているのに、雨。これは、

「「狐の嫁入りだ。」」

「あっ。」

「ふふ。ハモったね。」

「なにそれー!きつねさん?」

「みてー、きつね。コンコン!」

指できつねを演じる2人に夫が説明する。

「むかーしむかし、お嫁さんに行くためには提灯をぶら下げて行列を作って行かなければならんかった。その中には、人にいたずらしようとしたきつねさんも混ざっていたとな。」

子どもたちは真剣に聴いている。

「きつねさんが嫁入りの真似っこする時は必ず、晴れているのに雨が降る不思議なお空が出てくるそうだ。それはね、きつねさんが“化ける“という力を持っていて、人間を怖がらそうとしているからじゃった。だから、お天気の日を狐の嫁入りと言うそうな。」

「へぇー!よくわかんないけど、おもしろい!」

「コンコン!」

「ちょっと難しかったね、はは。」

夫は物知りで、子どもたちに色々と教えてくれる。ありがたい話だ。

花雫と空蕾も、そんな語りかけをいつも楽しみにしているようだった。

そして、密かにわたしも勉強になるので期待をしていた。

「外国にはね、日本と同じようにこのお天気を動物に喩えて表現しているんだよ。」

「そーなの?」

「どんな、どんなー?」

「そうだねぇ。ギリシャではゴリラさん、アフリカではお猿さん、イタリアでは猫さん、韓国では虎さん、あとは…フランスが狼さんだったかなぁ。」

「そんなことまでよく出てくるねぇ。すごい!」

「おとーしゃん、すごい!」

「てんさいだ!」

「あはは、ありがとう。狐の嫁入り、覚えた人!」

「「はーい!」」

 雨も上がり、シャボン玉を再開する。

今度は揃って手で輪っかを作って吹く。

どこまでも、どこまでも飛んでゆけと願いを込めて。



 
 
 

コメント


  • Pinterestの - ブラックサークル
  • Twitter
  • Instagram
ホームページに登録

送信ありがとうございました

© 2023 by Lovely Little Things. Proudly created with Wix.com

bottom of page