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〜家族〜 第1章 手に入れた穏やかな日常

  • 執筆者の写真: eco
    eco
  • 2020年4月4日
  • 読了時間: 4分

更新日:2020年4月6日

昼飯を食べ終え、皿洗いをしているところに子ども達の声が聞こえて来る。

「ねえソラみて!ハナ、かわいい?」

「ウン!ねーね、かわいい!」

キャッキャと戯れているのも束の間、「ギャー!」という花雫の悲鳴で駆けつける。

「おがあざん。ソラがね、ソラがね…ひっぱってこわしたあ。」

泣きながら縋り付いてくる。よほどショックだったのだろう。涙と鼻水でぐずぐずになっている。

見ると、髪飾りが少し壊れているようだった。

「大丈夫よ、これくらい。お母さん天才なんだから!ちょちょいのちょいで直しちゃうぞ!」

「空蕾も。ねーねに謝ったの?ごめんね、しようね。」

「ねーね、ゴメンネ。」

「ぐずっ…いいヨ。」

 子どもは目を離すとすぐこうなる。親戚の孫世代の中でも一番最初に生まれたわたしは、昔から幼い子どもの子守は慣れたものだが、いざ子育てとなるとこうも大変なのかと日々思い知らされる。

「これでも大人しい方か…。」

ふぅ、とため息をつく。そして実家を思い出す。

 幼少期、昔はよく怒声が飛び交っていたものだ。おそらく、一般家庭とは少しズレているような家柄だった。

(今ではいい思い出よ。大丈夫。わたしは頑張ってる。)

そう、わたしは本当に頑張ったのだ。光のない真っ暗闇から、ここまで這い上がった。そのことは自分が一番分かっている。

だからこそ、子ども達にはのびのびと育って欲しいと願っているのだ。

「ご飯食べ終わったし、ちょっと休憩してお外にお散歩に行くひとー!」

「「はぁーい!!」」

いいお返事!と笑いながら、すっかり泣き止んでいる娘にホッと安心する。

花雫も空蕾も感情豊かに育ってくれたおかげで、表現が人一倍大げさである。

泣いたら泣いたでワンワンと、笑えばギャハハ、嬉しいと鼻歌が聞こえてくる。

全く、誰に似たのだろう。

(〜♪)

「はーい!わたしです。」

夫からだ。

「今休憩。どんな様子かなって思ってさ。大丈夫?」

「ちょうど泣き止んだとこ。お昼も食べ終わったから散歩行こうと思ってるよ。そっちは仕事どう?」

「そっか、無理しないんだよ。子ども達なんてほうっておいても大きくなるんだから。仕事、早く終わりそうだから18時には家に着くよ。」

「ありがとう。お仕事頑張ってね。夕飯はハンバーグだから楽しみにしててね。」

「はいよ。んじゃあ、また連絡する。」

「いってらっしゃい!」

ピッと電話を切る。

夫は、休憩時間のたびにわたしを心配して電話をくれる。周りを見ても、こんな旦那はなかなか居なかった。

結婚して6年。新婚同様に生活できているのは、お互い苦労してきた仲だからだろうか。

 カメラマンの仕事をしている夫は、出会った当時、わたしのインスタグラムを見て連絡をしてきた。

最初は胡散臭いなぁと正直思った。なんせ、第一声が「ぼくとお友達になりませんか?」だったのだ。

SNSの時代で変な連中が蔓延っている中で、信じられる人を見分けるのは困難だった。

それでもしつこく声をかけてくる彼に戸惑いつつ、カメラマンであることを知り、何気なく「お金は出せないけど、写真撮っていただけませんか?」とお願いしてしまった。

「もちろんいいですよ。」

即答。

「葉山まで行きましょう。あ、この時のえこーでがいいですね。写真のやつ。」

と、服装まで指定してきた。

軽く言ったつもりが、ノリノリで撮影することとなり、それがキッカケで意気投合してしまい付き合うことになった。

「実はさ、ちょっとスランプだったのね。ぼく。でも君の写真を撮ってたら、なんだかワクワクしちゃって止まらないんだ。」

そう打ち明けてくれた。

わたしはそれまでセルフプロデュースで全て行ってきた。他人に撮ってもらうのも、指示は自分で出していた。

だが、最初に彼から「自然体を撮らせて。」とお願いされた。つまり、指示を出すなと釘を刺されたのである。

プライドが高いわたしは、「どうせかわいく撮れやしないわね。」と鷹を括っていたが、モニター越しに見えた表情はいつになく輝いていた。

安心しきっている顔に、逆に驚いてしまうほど心を許していた。

わたしは素直に嬉しかった。何もかも、穏やかだった。

告白を受け入れ今に至ることを考えると、運命の赤い糸はやはりどこかで繋がっているのだと感じた。

夫の優しさに触れるたびに、出会いを思い出し、ほわーんとした感情に包まれる。

「おかあさん!」

「さんぽ!」

と2人の声に、現実世界に引き戻される。

「ごめんごめん!ぼーっとしてた。行こうか。」

 春の陽気。暖かな木漏れ日の中を3人手をつないで歩く。

「あ、これ食べれるよ!採って帰ろう。」

つくしがいち、にい、たくさん…

英才教育を受けた子ども達は、両手にいっぱいのつくしを笑顔で見せに来た。

今晩のおかずの足しにしよう。

ルンルン気分でその場を後にした。




 
 
 

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