top of page
  • Pinterestの - ブラックサークル
  • ブラ��ックTwitterのアイコン
  • Black Instagram Icon

〜カナヘビのシヅ子〜 第1章 手に入れた穏やかな日常

  • 執筆者の写真: eco
    eco
  • 2020年4月11日
  • 読了時間: 3分

 山登りをしていると、相談教室を思い出す。授業の一環で、よくハイキングに行っていた。

クスノキ山にも来ていて、みんなで一眼レフを持ちながら歩いたものだ。

今日も愛用のPENTAX k-50を首からかけている。15歳の時からの相棒だ。

しばらく撮らない時期もあったが、子どもが生まれてからというもの、事あるごとに持ち出して活躍してくれている。

もっとも、夫がカメラマンで出る幕は少ないのだが…。

親2人してカメラを構えるので、花雫と空蕾はすでにモデルとして活躍できそうなくらいに慣れ、表情も硬くならず自然な動きだった。

「ねーね、ナナフシ、いたよ。」

「えー!ソラ、それはきのぼう!!!」

諦めていなかったようだ。

「あ!!!花雫!空蕾!こっちみて。カナヘビちゃんいるよ!」

わたしが指差す方に視線を向けると、そこには最近では珍しい、ひなたぼっこをしているカナヘビがいた。

「わー!かわいい!しゃしんとって!」

「しっぽ、ながいねぇー。」

タイミングをはかって、パッと手を出し捕まえてみると、手の中には静かにカナヘビが呼吸をしていた。

「おかーしゃん、すごい!」

「ねえねえ!ハナもさわるー!」

まんまるく吸い込まれそうな2人の目に見つめられて、カナヘビはすぐに逃げ出そうとはせず、とても大人しかった。

「わぁぁぁ!!」

花雫の手のひらに乗せてあげると、嬉しそうにニコニコしているが、ちょっぴり緊張気味だ。

命に触れるということは、子どもにとってどんな影響を与えるのか。

わたしは、小さくても大きくても、生き物はみな平等なことを伝えたかった。

なので、いつもみつけた生き物たちに名前をつけている。

「ワタシは、静かにしてるシヅ子ちゃん。いま、空蕾くんと同じ3歳です!今日はあったかいので、ひなたぼっこしてました。花雫ちゃんのお手手、スベスベだねぇ!」

裏声でカナヘビになりきるわたしに、クスクスと笑い声が上がる。

「わぁ!カメラマンが2人もいるわ!ワタシも、モデルさんみたい!」

パシャパシャと撮りながら、心の中でカナヘビに感謝とごめんねを呟く。

(こわいね、ごめんね。ありがとう。すぐ逃してあげるね。)

「そろそろ行くわね!じゃあ、2人とも山登り頑張ってね!また会いましょー!」

そう言って受け取り地面に手を近づけると、辺りを確認するようにしてから草むらへかけて行った。

「かわいかったね。久々にみたよ、カナヘビちゃん。」

「すごいね、いきしてるの!それでね、くちあけてあくびしてたの!」

「花雫が上手に持ってあげたから、眠くなっちゃったのかなぁ?」

「ぼく、きょうりゅうの、こどもかと、おもった。」

「空蕾!すごい!正解!そうだよ。カナヘビはね、爬虫類って言って恐竜さんの仲間なんだよ。」

「はちゅーるい?」

「そう、爬虫類。他にはね、カメさんとかトカゲさんとかいるんだよー。」

と、夫が解説してくれた。こうして、実際に触れて学ぶことは、どんな座学より親しみやすく経験にもなる。

夫もそれを分かってくれる、よいお父さんだ。

「カナヘビちゃんはね、獲物に捕まるとね、自分でしっぽを切るんだよ。」

「えー?なんで?いたい?」

「ううん、痛くないよ。獲物がしっぽに気を取られてる隙に、逃げられるようになってるんだって。お父さんも昔捕まえて、しっぽ切れちゃったことあるなぁ。」

「お母さんは、カナヘビちゃんとお友達だから大丈夫だったよ。」

「おとーしゃん、えもの、だー!」

「おかしいなぁ?間違われちゃったのかな。」

「ふふ。さ、歩こう。」

「バイバイ、シヅこちゃん。」

「バイバーイ!」

カナヘビに別れを告げ、山登りは再開された。



コメント


  • Pinterestの - ブラックサークル
  • Twitter
  • Instagram
ホームページに登録

送信ありがとうございました

© 2023 by Lovely Little Things. Proudly created with Wix.com

bottom of page