top of page
  • Pinterestの - ブラックサークル
  • ブラ��ックTwitterのアイコン
  • Black Instagram Icon

〜クスノキ山〜 第1章 手に入れた穏やかな日常

  • 執筆者の写真: eco
    eco
  • 2020年4月12日
  • 読了時間: 3分

 クスノキ山の山頂までは、なだらかな坂道が続いている。

子どもでも比較的登りやすいようで、花雫と空蕾は休憩もしないまま、もうすぐ頂上だ。

「みんなー、もうすぐてっぺん着くよー!」

「「はぁーい!」」

「よいしょ、よいしょ。がんばれ、かんばれ!」

「ハナ、まだげんきー!よいしょぉー!」

2人ともはりきっていた。今晩はよく眠るだろうなぁ。

最後の坂道の先には、何やら黄色いものが見え隠れする。

菜の花だ。

クスノキ山には、たくさんの菜の花が植えられていて、タイミングがいいと一面の花畑を見ることができる。

「ほら、2人とも菜の花見えてきたよ!もうすぐ!」

「頑張れ頑張れ〜!背中押してあげるよ。」

「ふぅ〜!おとーしゃん、ありがとう。」

空蕾はさすがに疲れてきたのか、息が上がっている。

花雫はどうかというと…全く疲れた様子がなく、パワーに満ち溢れている。

「みてー!なのはな!あ!!!!みつばちだ!!ヒマリとナノハだー!!!」

「どこどこー?教えて。」

「そこ!ほら、ゆびみて!」

小さな人差し指の示す方には、小さなみつばちが花粉をたっぷり後ろ足につけて飛んでいた。

「かわいいー!おしゃしん、とってー!」

 わたしも昔は、虫の中でもみつばちが特別な存在だった。

本や物語に出てくるみつばちは、みんな働き者で、女王蜂の命令に従順だ。

また、みつばちが住む家はなんと綺麗なのだろう。精密な機械をもってしても作れないような美しさがある。

そして、なんと言ってもハチミツが大好きだった。お花から蜜を集めてくる、それだけでロマンあふれるのに、その味は絵に描いたようなおいしさで、口いっぱいに広がる甘さとほんのり花の香りは、わたしを魅了した。

それだけではない。みつばちのフォルムも好きだ。コロンとした体はフワフワの体毛に包まれていて、大きなクリクリの眼は愛くるしい。

それらの殆どがメスであると知ったとき、不思議な感覚に包まれ、生態をよく知りたくなった覚えがある。

わたしの大好きな本“獣の奏者エリン”に、詳しく載っているのでオススメだ。

 菜の花を過ぎると、ひらけた広場がある。

「つ、着いたー!!ふぅ。」

「やったー!ここ、てっぺん?」

「そうだよ。やっと着いたね。2人ともよく頑張りました、花丸っ!」

「わーい!」

クスノキ山はこの地域でもっとも標高が高いので、広場からは辺りの景色が一望できる。

その風景は360度に広がり、自分たちが住んでいる街並みや自然の様子が丸わかりだ。

展望台に登ると、それがよく分かる。

「ほっ、ほっ、ついた!」

「「わぁぁぁあ!!」」

今日はよく晴れているので、子どもたちも感動しているようだ。

「あ、富士山見えるよ。わかる?」

「本当だ。うーん、気持ちいいねぇ!」

「ねえねえ!ハナのすんでるおうち、どこ?」

「そうだなぁ。たぶん、あーっちの方だよ。ここからは残念だけど見えないなぁ。」

「そっかぁ!ちきゅうって…おおきいね。」

 子どもから見た地球は、どんな感覚なのだろうか。

ただただ広がる景色を目の前にして、零した言葉の中に含まれる感覚は、きっと今のわたしには得られ難い感動があるのだろう。

「ぼく、このおやま、すき!」

自然は癒しを与えて心を豊かにしてくれる。

きっと、年齢は関係ない。

花雫と空蕾がそれを感じてくれたら、来た甲斐があるものだ。

「よーし、じゃあ降りてご飯にしよう!お母さんの気合い入ったお弁当だよ!」

「「はぁーい!」」

レジャーシートを広げて、お弁当を並べて、空気が澄んでいる中食べる。

至福の時間はここにもあった。

しばしの間堪能することにしよう…。




コメント


  • Pinterestの - ブラックサークル
  • Twitter
  • Instagram
ホームページに登録

送信ありがとうございました

© 2023 by Lovely Little Things. Proudly created with Wix.com

bottom of page