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〜サプライズ〜 第1章 手に入れた穏やかな日常

  • 執筆者の写真: eco
    eco
  • 2020年4月7日
  • 読了時間: 5分

[おうちのなかで いちばん さむいところにある くろいジュースを おとうさんに のんでもらおう]

宝探しが始まった。3人が帰ってくるまでになんとか準備ができた。

「さ、む、い、と、こ、ろ…?どこ?どこだっっ??ソラ、なんだとおもう!?」

「うー。わかんない。」

「おとーさん!おしえてー!」

「うん…そうだなあ。わかった!花雫と空蕾が大好きな、アイスが入ってるところは〜?」

「あっ!わかったよ!れいとーこだ!」

「ソラがあけるー!」

「いいよー!あけて!」

そこには、280mlのコーラのペットボトルを仕込んでいた。

「おとうさん!のんでのんで!」

ゴクゴクと一気飲みする姿に、2人とも面白がってギャハハと笑っている。

「ぐはっ!シュワシュワする!」

涙を流しながら飲み干したペットボトルには、先ほどまで見えなかった黒い文字が浮かんでいる。

「ねえみて!なんか、かいてある!」

「よんでー。」

[よくできました つぎは おようふくを きれいきれい するところ]

「お、よ、う、ふ、く…わかった!せんたっき!」

バタバタと駆け回るチビっ子2人組に合わせ、ニコニコ微笑みながら傍観する大人組。

「ね、急にどしたの?なんかあった?」

「ふふ。思いつき。たまにはハッピーなことあってもいいじゃん?」

夫の心配をよそに、自分が一番楽しんでいることに気がついた。

「あったー!みっけた!なんだろー?」

そこには、折り紙で作った箱の中に、クラックビー玉が2つ。赤と青の2色だ。

[とくべつに 1ポイント ゲットだね つぎは おひるね するところ]

「ソラ!ポ、イ、ン、ト、だって!やったね!」

「なにそれー?」

「とくべつ、だよ。とくべつ!」

そう言いながら、子ども部屋へと向かう。

枕の下には、次へのクイズが書かれている。

[オレ おこめで おなか いっぱい あったかくて モクモク でちゃう]

「お、こ、め…んんん??なんだー??」

「ソラわかんない!」

ちょっと難しかったかな?と、ヒントを出そうと思ったら、

「あ、ごはんか!わかったよ!ソラ、きて!」

あっさり理解したようだ。

[よくわかったね 1ポイント ゲットだよ つぎは えを みてね]

炊飯器の中には、クイズの紙とクラックビー玉と一緒に簡素的な絵が描かれている紙が入っていた。

「ねーねと、ぼくだ。」

空蕾が真っ先に言った。

そこには、お花と青い空に浮かぶ雲が色鉛筆で描かれている。

空蕾が花雫より先に答えたことに驚きだった。だが、それだけでは正解にならない。

「ハナとソラ?なんだろー?」

「花雫、回ってみて。」

そっと促す。

「あ!ねーね、おせなか!これ!」

「わ!ほんとだ!ソラはー!?…あったー!!」

2人が気付かないように、背中にクイズの紙を貼っていたのだ。

風車のようにクルクル回る子どもたちは、とてもかわいい。

花雫の後ろには、

[わしキチとズがてる]

空蕾の後ろには、

[たはイゴネミでくよ]

「わ、し、き、ち…へんなのー!あはは!なにこれー!」

楽しんでくれて何よりだ。

「ソラの、みしてー!た、は、い、ご…?」

「なんで2枚なんだろうねぇ〜?」

「2まい…2まい…あっ!わ、た、し、は…!!」

少々時間はかかったが、気づいたようだ。

「みーまちゃんだ!ぜったいそうだ!」

「みーまちゃん!あっち。」

“ひめねずみのみーま”という絵本がある。わたしが幼い頃、実母が買ってくれたものだ。

一度は捨てられてしまったが、もう一度読みたいとせがみ、のちにオークションで手元に戻ってきた大事な絵本である。

この絵本の醍醐味は、なんと言ってもおいしそうなキイチゴの表現!自分まで絵本の世界に飛び込めそうなほど、ワクワクとした冒険が楽しめる。

絵本の中には、最後の指令が。

[さいごは おとどけものでーす の はこのなか]

「かんたん!ポスト!ポストみにいこっ!」

「はぁーい!」

そこには、3人への日頃の感謝が綴られた手紙が3枚。

空蕾は読めないので、わたしが読み聞かせる。

「ソラへ。いつも、おてつだいありがとう。おかあさんとってもうれしいよ。すぐつかれちゃってごめんね。でも、ハナとソラとおとうさんがいるから、がんばるね。やさしいソラがだいすきだよ。おかあさんより。」

すると、空蕾が、

「かーしゃん、ないてるの?」

「ごめんごめん!泣いてないよ。嬉しいんだよ。大丈夫だよー!ほら、元気元気!」

とは言うものの、止めどなく溢れ出てくる涙は、頬を伝って手紙に滴を落とした。

涙もろさは年々増して、少し心を揺さぶられただけで、水道の蛇口をいっぱいにひねったように出てくる。

子どもたちの前では泣かないように努めていた。しかし、今、2人の成長を目の前にして感動してしまったのが原因だ。

それ以上に、自分が幸せを感じていることに対しての喜びが大きかった。

「おかあさん、ヨシヨシしてあげるね。」

「かーしゃん、ヨシヨシ。」

「お父さんも、ヨシヨシしてあげよう。」

みんなにサプライズするつもりが、逆にこっちが励まされてしまった。

「みんなありがとうね。もう大丈夫!そうだ、花雫と空蕾にはもう一個プレゼントがあるよ。」

取り出したのは、不思議なキャラクターが小さく描かれた、大きめの透明なビンが2つ。

「さっき、ビー玉あったでしょ?2ポイント。この中に入れて。」

ピンクのキャラクターは花雫に、水色のキャラクターは空蕾に。

「今日から、1日に3ポイントまで、このビンに入れられます。どうしたらポイント、たまると思う?」

「はい!おてつだい!!」

「いいこにするー!」

「2人とも正解!お手伝いしたり、ちゃんとお約束守れたり、がんばったご褒美に1ポイントずつあげるよ。もう一度言うけど、これは1日3ポイントまでだからね!」

真剣に、でもウズウズとした感情が伝わってくる様子で聴いている。

「ポイントが、10個たまったらお母さんとお父さんと好きなだけギューってできるよ!50個たまったらみんなでお出かけしよう!300個たまったら…。」

「300こ、たまったら…?」

「また宝探しゲームができます!」

「「やったー!!」」

ホッとため息。喜んでくれるか心配だった。

 ちまたでは、ご褒美制度はよろしくないと言われているが、わたしは“モノ”で釣らなければ効果があると知った。

“モノ”ではなく“愛情”や“体験”などを組み込むことで、モチベーションや自己肯定感を育む、というものだ。

なので、ご褒美にするのは、ギューっと抱きしめて愛情表現をしたり、お出かけや宝探しで楽しい体験をしたり…。それ以外にも、普段から褒めて伸ばすということを大切にする。わたしの「えらいね!」作戦が有効なのは身をもって証明していた。

はじめての試みは、実は中学生の頃アメリカの教育法をテレビで観たときにピンときて、早く実践したかったのだが、なかなかタイミングがなくできなかった。

今後に悪影響を及ぼさないように最新の注意を払って、様子を見ることにする。

「おかあさん、ありがとう!ハナもがんばるね。」

そう言った娘は、なんだか少し大人になったような気がした。




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