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〜バラと本の折り紙〜 第1章 手に入れた穏やかな日常

  • 執筆者の写真: eco
    eco
  • 2020年4月14日
  • 読了時間: 3分

「ここは三角に、その次は開いて…」

「こうー?」

今日は花雫が風邪をひいたので、家で過ごしている。

遊びたいと言うので、大人しく折り紙をすることにしたのだった。

「上手上手!そしたら、手のひらに乗せて、クルクル〜っとします。」

「クルクル〜!」

「そして…ここを開いて…ちょっとひねって丸めたら…バラの完成〜!!」

「できた!!」

小綺麗な小さな赤いバラと、不格好だが味のあるピンクのバラが出来上がった。

「これをね、全部で12個、作りますよ〜!」

「えぇーっ!!そんなに!!」

「しかもね〜、葉っぱの土台も作らなきゃだからね〜、もっとむつかしいよ〜?できそう?」

「やってやらぁ!!」

「ふふ、どこでそんな言葉覚えたのかしら。」

 折り紙は得意だ。幼稚園の頃、先生に

「えこちゃんは、ちゃんと端っこを揃えて折ることができるから、みんな真似してねー。」

と言われたのを覚えている。

小学校では、友達を10人くらい集めて折り紙教室を開いたり、中学の相談教室では、棚の一画にわたしの作品コーナーが設けられていた。

入院となれば、ほかにやる事がほとんどないので、作品づくりに没頭できた。その成果は病棟中の物置スペースに飾られ、毎日のようにさまざまな年代の方を集めては“えこちゃん折り紙教室”を開催していた。

今でも覚えているほとんどがその時に練習したものだ。

「おかあさん、これであってる?」

「お、もうできたのー?すごいね。」

「まだ、あと11こだー!」

「頑張れ頑張れ!」

熱が下がった花雫は、夢中になって折っている。

その真剣な眼差しは、折り紙に一心に注がれていた。

「花雫、おやつ何がいい?」

「んー。」

「聞いてないなぁ…。」

こういうところは、夫に似たようだ。

 コツコツと集中して作業する事1時間。

ついに、残り1個となった。

「ふぅ、あとすこし!」

「花雫頑張ってるね。それ終わったら休憩しようね。」

これで知恵熱が出てしまっては敵わない。

おやつには、お手製練乳とイチゴのミルクストロベリー棒アイスを2人で食べる。

「身体、だるくない?調子いかが?」

「げんきー!」

「そっかぁ!よかった。あとでお熱測ろうねぇ。」

 バラと葉っぱのパーツが揃ったら、全てをノリでくっつける。

完成が近づくと、なんだかウキウキしてくる。

「できたっ!」

「よくできました、花丸っ!あとは、乾くまで待ちましょー!」

「はーい!」

「じゃあ、お熱測ろうね。」

ホッと安心、36.5度。

「ハナは、ねっしやすくさめやすい、の?」

「あはは。うーん、間違ってはいないけど…。」

 乾燥させている間に、もう一つ作ることにした。

「今度はどれがいい?」

「えーっと…これ!」

「これか…ちょっとさっきよりむつかしいよー?できるー?」

「やってみる!」

気合い満々に決めたのは、一枚の紙で作る“本“だった。

せめて小学校に上がらないと無理だと思っていたのだが…花雫は思っていた以上に手先が器用だった。

「ここは大変だから一緒にやろう。」

「んんんー!むつかしい!」

「でしょ〜。でも、花雫ならできるよ。」

30分以上かけて出来上がった本は、なんとか形を保っていた。

「すごい!花雫、できたねー!」

「ぐちゃぐちゃになっちゃったー!えへへ。」

「大丈夫大丈夫!ほら、ここに絵を描いたら絵本になるよ!」

「なにかこうかなぁ〜!」

自分の持っている知識や経験を、子どもに伝えていけることが嬉しくて、やっとわたしの生きる意味を見つけられた気がする。

きっとこのためにわたしは色々な事に手を出して、幅広く身につけてきたのだろう。

出来上がったバラと本は、達成感と共に安堵と肯定感を与えてくれた。





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