top of page
  • Pinterestの - ブラックサークル
  • ブラ��ックTwitterのアイコン
  • Black Instagram Icon

〜寂しがり〜 第1章 手に入れた穏やかな日常

  • 執筆者の写真: eco
    eco
  • 2020年4月8日
  • 読了時間: 3分

 すやすやと息を立てている子どもたちの寝顔は、無防備に安心しきっている。

夕飯の時に花雫が、

「きょう、ようちえんでね!みっちゃんとともくんとさきちゃんと、どろだんごつくったー!でもね…。」

「どうしたの?」

「さきちゃんがおとしてこわしちゃったから、ハナ、じぶんのあげちゃったんだ!ピカピカにできてね、じょーずだったの!」

と話してくれた。

「そうだったの〜?えらいね。人のためにできるのって、すごいんだよ!」

「うん!おかあさんがまえにもいってたから、やってみた!よろこんでくれて、ハナうれしかったよ!」

「うんうん。」

「お父さんはね、今日お迎えに行けて楽しかったよ。それに、帰ってきてビックリだったね〜。」

「ぼくもおとーしゃんきて、びっくりした!」

「たからさがし、たのしかったなー!ねぇねぇ!ポイント、つくえふいたら1こふえるー?」

「そうだね。ごちそうさましてからやってくれる?」

「うん!」

「空蕾は、おもちゃ片そうね〜!」

「はーい!」

テレビもつけずに和やかに楽しく食事ができているのは、子どもたちのおかげだ。他愛もない会話が、心の支えになる。

「今日のデザートは、レアチーズケーキです!」

「「わぁぁ!!!」」

みんなパクパクとたべて、あっという間になくなってしまったので、作った甲斐があった。

(今日も長い1日だったな。)

 寝顔を見ていると、疲れを忘れるくらい癒しになる。

2人とも疲れていたのか、すぐ寝てくれたので今日はゆっくりできる。

そのまま一緒に眠ってしまいたいが…昼間の作業が途中なので、再開することにした。

なにも考えず没頭できるこの時間が大好きだ。

夫は横でなにやら難しい本を読んでいる。

「それ、面白い?」

「んー。」

「よく読めるねえ。尊敬しちゃう。」

「んー。」

こういう時の夫は、なにを話しかけても「んー。」としか返ってこない。

それがわかっていて、ついついちょっかいをかけたくなる。

「ねぇねぇ。わたしかわいい?」

「んー。」

「…きんぴらごぼう、明日作るね。」

「やだっ!」

「聞いてるんかーい!」

わたしはきんぴらごぼうにトラウマがあって、なかなか食べるのに抵抗があるという話をしたら、夫も大嫌いな料理ということが付き合いはじめの頃判明した。

その頃から定番のやりとりなのだが、毎回ちゃんと反応をしてくれるので、いつ怒られるか、はたまた呆れられるかドキドキしている。

 空間を共有しながらも、別々の作業をすることが好きだ。

きっとわたしが特段寂しがり屋なんだろうと思ったが、意外にも共感してくれる人が多い。

高校卒業後に仲良くなった友人たちには、当時いろいろとお世話になった。

(今頃なにしてるかなあ…?)

何よりも、生きているか心配になるくらい繊細な女の子たちだった。

(会いたいなあ。)

ぐんぐんと湧き上がる寂しさのスパイラルから抜け出すために、わたしは夫に話しかける。

「りっくん。お話しよ。」

「んー…いいよ。」

すぐにパタンと本を閉じ、向き合ってくれる。

「どういたしましょう?」

「えーっと…ちょっと遊びに行きたい。」

「どこに行く?」

「遠いとこ。」

「難しいこと言うねえ。沖縄?北海道?あ、ブラジルでも行っちゃう?」

切ない表情のわたしを見て察したのか、おどけてくれた。

「なんでりっくんはそんなに優しいんだろう。」

「僕は自分のこと好きだし、それ以上にえこちゃんが好きだからね。」

「愛の告白だ〜。」

「何度でも言うよ。本当のことだからね〜。」

「寂しさ飛んでった。ありがと。」

「うん。よかった。そろそろ寝よっかね。」

「もうこんな時間かあ。寝よ寝よ〜。」

22時過ぎ。夫は精神年齢が幼いままのわたしをあやしながら、眠りへと導いてくれた。



コメント


  • Pinterestの - ブラックサークル
  • Twitter
  • Instagram
ホームページに登録

送信ありがとうございました

© 2023 by Lovely Little Things. Proudly created with Wix.com

bottom of page