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〜籠いっぱいの〜 第1章 手に入れた穏やかな日常

  • 執筆者の写真: eco
    eco
  • 2020年4月4日
  • 読了時間: 3分

更新日:2020年4月6日

気がつくと、手編みのツルの籠いっぱいに野草が入っていた。またやってしまったか。

(小さめの籠にしておいてよかった。)

なぜ”また”なのか。それは、散歩のたびに採ってくるものだから、食べきれずに夫に呆れられてしまったからである。

(ハンバーグの付け合わせには多いなぁ…)

つくし・カラスノエンドウ・ハコベ・オオバコ・ギシギシ・ミツバ・セリ・ノビル・ヤブカンゾウ…

この時代に、これだけ生えているのが不思議なくらい貴重である。

普段ならこれを天ぷらにして、天そばにするのだが…

「よしっ、今日は野草パスタだ!」

「えーっ!なにそれぇー!」

「んまーだよ!んまー。ちゅるちゅるにしよう!」

「おひるごはん、おうどんのちゅるちゅるだったぁー!」

「あー、そうだねぇ!ウーン。」

 こうして毎日の献立を考えるのは、なかなかむつかしい。ましてや、イレギュラーなことばかりなわたしにとっては、ノリと勢いで出来ないことは苦なのである。ルーティーンというものがどうも苦手だった。

「じゃあ、佃煮とおひたしにする?」

「いいのー!?やったー!!」

「オー!」

 この2人、実に渋い舌の持ち主…オヤジの味をしめている。特に、野草の佃煮とおひたしを作ると喜んでパクパク食べてしまう。

が、種類ごとに下処理が違うので正直作りたくないところだった。

「まあいっか!お手伝いしてくれる?一緒に作ろうね〜!」

「「はーい!!」」

「さ、帰っておやつにしよ!」

「おやつだー!」

「アイスー!」

15時少し前。お天道様も陰り始めたので早々に帰る。

 家に着くと、2人は泥んこになっていた。

「あー、おやつ食べる前にシャワシャワしよっか!スッキリンリンだね。」

「「えーーーー。」」

大ブーイングである。わたしに似てお風呂が大嫌い。困ったものだ。

こんなときは…

「じゃあ花雫と空蕾のアイス、お母さん食べちゃうもんねー!」

と言い残して先にお風呂場に行く。

すると、半ベソかきながら嫌々ついてきて、

「やーーーだーーーーー!!!!たべるのーーーーー!!!!」

ここまでが計画通りなのだった。

「ねぇ、かーしゃん。」

お風呂に入ると、空蕾が口を開く。

「んー?どうした?」

「ぼくね、さっきころんだとき、なかなかったのえらい?」

「えらい!よしよし。もう痛くない?」

頷く息子は、少し…いや…だいぶ甘えん坊だった。そして花雫の方がやんちゃなくらい、柔らく穏やかな性格をしていた。

「えらい?」が口癖なのも、わたしの影響だ。

 昔から自己肯定感の弱いわたしは、ある時気がついた。

(そうだ、周りに褒めて貰えば…えらいって言って貰えば、少しは変われるかも。)

と。

そうして当時の彼氏や友人や家族みんなに「えらい?」と聞いたら「えらいね。」と何がなんでも返してもらうようお願いした。

すると、少しずつだが自分を認められるようになって、今ではだいぶ自信がついていた。

周りにとっては面倒くさいことなのに、嫌な顔一つせず協力してくれたみんなに感謝の気持ちでいっぱいだ。

 わたしなりに変わろうとして変わることができた事実は、担当カウンセラーもビックリな様子だった。

そう、わたしは心療内科に通院している。

かれこれ17年ちょっと、幾度と入院を乗り越えてきたわたしは、障害者手帳も持っている。それでも家庭を持ち、生きている。

心の闇は、今でもたまに顔を出す。

それでも前を向けるように、少しずつ歩んでいる。

「えらいね。」という単純な言葉一つとっても、人生はいい方向に進むことを自ら証明した。

 そんなことを知らない子どもたちは、わたしが口癖のように言いふらしているのを真似して、よく訊いてくるようになった。

だから、わたしにできることは「えらい!」と自信満々に言うことだ。

きっと子どもたちは、しなくていい苦労をせずに育ってくれるだろう。

そう願うばかりである。





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