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〜飛行機雲〜 第1章 手に入れた穏やかな日常

  • 執筆者の写真: eco
    eco
  • 2020年4月9日
  • 読了時間: 2分

 わたしは怒っている。

「花雫。ちゃんとお話しして?」

「うー…えーっと…。」

事の発端は、幼稚園からの電話だ。

『花雫さんが、園庭に出て行ったきり帰ってこないんです。』

と、申し訳なさそうに言われた。

要するに先生たちが気づかないうちに、どこかへ行ってしまったというのだ。

「花雫、どうして園の外に行っちゃったの?」

「うー…うーん…あの…。」

「いいよ、落ち着いてゆっくり話して。」

「あのね、おかあさん。ハナね、ひこうきぐもみつけてね、それでね、おそらのどこまでつづくのかしりたくて、おいかけたの…ごめんなさい。」

 わたしは怒っている。園の先生にだ。

目を離したのはともかく、見つかった時に理由も聞かず頭ごなしに怒ったらしい。

そのせいで、花雫は怯えて震えていた。

「花雫、よく聞いてね。花雫がしたかったことは間違ってないよ。飛行機雲、どこまで続いてた?」

「えっと…ずっとずっとさきのほう。おうちのかげでみえなくなっちゃった。」

「そっかぁ。見えなくなっちゃったのは残念だね。今度はお母さんと一緒にまた探しに行こうね。」

「うん…。」

「でもね、花雫。先生たちとのお約束、ちゃんと守った?勝手に園の外に出て行っちゃダメって、なんでだと思う?」

「うぅ…。あぶないから…?」

「そうだね。何が危ないのかなぁ?」

「うーん…おくるまとか…?」

「うん。お車が来ても、花雫が気づかなかったらもしかしたら轢かれてケガしたり死んじゃうかもしれない。変な人がいたら、花雫のこと無理やり連れて行って、お家に帰ってこれないかもしれない。それはね、花雫がまだ5歳だから先生たちもお母さんも心配して言ってるんだよ。」

「でも、ハナ、ちゃんとまわりみてきをつけていったよ?」

「えらいね。周りに注意するのはいつでも必要なんだよ。ただね、花雫の周りを見れる力はまだまだ弱弱ちゃんだから、力がつくまではお約束守ろうね。」

「わかった!おやくそくする。」

「うん!いい子!1ポイントゲットだね!」

「いいの?ハナわるいことしたのに…。」

「ちゃんとお話ししてくれたし、分かってくれたからいいんだよ。悪いなって思ったら、次から気をつければいいよ。」

「うん!きをつける!」

 飛行機雲を追いかけてどこまでもついていく様子を思い浮かべて、心配半分期待半分というところだろうか。

人一倍好奇心旺盛なのは、花雫の長所であり強みだと思っている。それが上手く実るためには、サポートが欠かせない。

導けるだろうか、わたしに。

いや、やるんだ、わたしが。

どこまでも伸びていく飛行機雲のように、生まれ持った素質を伸ばしていこう。

「よーし!じゃあ、空蕾のところ行って帰ろっか!」

「ハナ、おむかえいってくる!」

さっきまで泣きべそかいていた娘は、笑顔だった。




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